ピーター・ウィムジイ卿の活躍する長編第4作目。
次作からはピーター卿とハリエット・ヴェインとの長い恋物語が始まりますし、同時に出版社も変えているのでこのシリーズを2つに分けるとすると前期の最後の作品ということになります。
休戦記念日にベローナ・クラブを訪れたピーター卿はクラブの古参会員フェンティマン将軍が椅子に座ったまま死んでいる場面に出くわしてしまいます。おまけに疎遠になっていた将軍の妹も同じ朝に亡くなっていたので遺産の分配を決定するためにピーター卿に死亡時刻を決定して欲しいという依頼がされるというお話です。
まるで雲を掴むような話ですが、調査が進むにつれてどんどん結び目が解けていき最終的には一つの殺人事件が浮かび上がってきます。
以前からそうでしたが、この作品では人間描写に今まで以上に力が注がれていると感じました。
第1作目でも触れられた大戦の傷跡をより強く具現化している元大尉やハリエット・ヴェインの原型とも取れる女性達が登場するなど、前期の総決算+後期への移り変わりが窺える面白い作品になっています。
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ベローナ・クラブの不愉快な事件 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M セ 1-5) 文庫 – 1995/5/24
休戦記念日の晩、ベローナ・クラブで古参会員の老将軍が頓死した。彼には資産家となった妹がおり、兄が自分より長生きしたなら遺産の大部分を兄に遺し、逆の場合には被後見人の娘に大半を渡すという遺言を作っていた。だが、その彼女が偶然同じ朝に亡くなっていたことから、将軍の死亡時刻を決定する必要が生じ……? ピーター卿第四弾。
- 本の長さ353ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日1995/5/24
- ISBN-104488183050
- ISBN-13978-4488183059
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (1995/5/24)
- 発売日 : 1995/5/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 353ページ
- ISBN-10 : 4488183050
- ISBN-13 : 978-4488183059
- Amazon 売れ筋ランキング: - 240,538位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 957位創元推理文庫
- - 1,366位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- - 1,907位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年11月12日に日本でレビュー済み
クラブで死んだ老軍人の死亡時刻を巡り、主人公のウィムジー卿が捜査を始めるが・・・というお話。
前作よりも小説として厚みが出たというかコクのある作品になっていると感じました。一作ごとに円熟していっている様で今後の展開が楽しみになりますし、再読に耐えるミステリだと思いました。
解説で触れられている通り、発表当時の女性の社会的役割や責任、立ち位置等が興味深く読めて、この辺は今で言うフェミニズムの視点で読んでも面白いかもしれません。この頃は今より女性の地位が低かったそうで、そういう女性の扱われ方や存在意義を行間から読みとるのも意味のある行為かもしれません。
また、作品全体に戦争の後遺症が支配しているのも見逃せません。時代的に言うと多分第一次大戦だと思いますが、事件の起こる日が休戦記念日、登場人物の多くがシェルショック(戦争後遺症)に悩んでいたり、一番問題になる登場人物も軍人という、戦争の世紀の時代感が反映されていて興味深いです。主人公のウィムジー卿も失恋とシェルショックを抱えているという設定で、よくそういう精神状態で探偵をやるなぁとか思いました。私も精神疾患を抱えているのですが、ある組織に所属していた際、宴会の幹事を頼まれたのですが精神的にダウナーな感じだったので、ちょっと苦労した経験があり、他人事に思えませんでした(殺人事件と宴会の幹事ではレベルが全然違いますが)。
ともあれ、今後の展開が気になるシリーズ第四作目。機会があったらシリーズ順で是非。
前作よりも小説として厚みが出たというかコクのある作品になっていると感じました。一作ごとに円熟していっている様で今後の展開が楽しみになりますし、再読に耐えるミステリだと思いました。
解説で触れられている通り、発表当時の女性の社会的役割や責任、立ち位置等が興味深く読めて、この辺は今で言うフェミニズムの視点で読んでも面白いかもしれません。この頃は今より女性の地位が低かったそうで、そういう女性の扱われ方や存在意義を行間から読みとるのも意味のある行為かもしれません。
また、作品全体に戦争の後遺症が支配しているのも見逃せません。時代的に言うと多分第一次大戦だと思いますが、事件の起こる日が休戦記念日、登場人物の多くがシェルショック(戦争後遺症)に悩んでいたり、一番問題になる登場人物も軍人という、戦争の世紀の時代感が反映されていて興味深いです。主人公のウィムジー卿も失恋とシェルショックを抱えているという設定で、よくそういう精神状態で探偵をやるなぁとか思いました。私も精神疾患を抱えているのですが、ある組織に所属していた際、宴会の幹事を頼まれたのですが精神的にダウナーな感じだったので、ちょっと苦労した経験があり、他人事に思えませんでした(殺人事件と宴会の幹事ではレベルが全然違いますが)。
ともあれ、今後の展開が気になるシリーズ第四作目。機会があったらシリーズ順で是非。
2019年3月18日に日本でレビュー済み
1928年刊行の長編第四作。莫大な財産相続に絡む不審死の死亡時間を特定する前半は面白いが、中盤以降、話の底が割れてからは物語の展開が急失速する。ミステリとしては残念ながら初期作品の中でも凡庸な出来と言わざるを得ないが、八面六臂のピーター卿の活躍ぶりと饒舌なユーモア、さらに英国伝統のクラブ文化の詳細な描写は捨てがたい。